タイトルの通り、ひょんなことから大阪音楽大学の講師になることが決まりました。
自己紹介を読んでくださった方はご存じですが、2007年に大阪音楽大学音楽学部器楽科トロンボーン専攻で入学し、2009年3月に中退しました。よって学歴は大阪音楽大学中退。もちろん学位もなく、高卒です。
音楽大学を中退した理由。
朝日新聞のインタビュー記事には「水が合わず、中退。」と書かれていますが、大学が嫌になったわけではなく、「音楽が思うようにできなくなった自分が嫌いになった」が正解です。中退するきっかけになった出来事があり、重度のストレス・疲れが原因で左耳が急性低音障害型感音難聴になりました。名前の通り「突然、低音が聞こえなくなる」という症状が出ます。
トロンボーンの音が鳴るベルは、左側に位置しています。2008年1月末、突然自分のトロンボーンの音が聴こえなくなりました。聴こえないと言っても、聴こえる音域もありました。ただ、使い物にならないわけです。音楽大学では、先輩や後輩、同期とアンサンブルをするわけで、自分の音が聴こえていないのは致命的です。音のバランス、音程、音色、タイミング…演奏中にすることは山ほどあります。が、聴こえないので周りの人より「できない」状態が続くわけです。
2008年4月、痛みとめまいが伴いはじめ、休学を決意しました。(実際に休学したのは7月から)それからも半年以上治療を続けましたが、完全には元に戻りませんでした。見た目ではわからないので、生きづらい日々でした。現在は、完全には戻っていませんが聴こえるようになりました。ただ、突然聴こえづらくなることがあります。自分の中で原因がわかっているので、うまく付き合って生きています。
今日は、大阪音楽大学を中退した私が、どうして大阪音楽大学の講師になったのか、経緯を書き留めます。
大阪音楽大学を中退した私が、どうして大阪音楽大学の講師になったのか
きっかけは、会社のHPとFacebookでした。2016年に会社でおこなった「音大生のためのビジネスマナー講座」の記事を、在学当時お世話になっていた大学の先生がシェアをしてくださいました。それを見た大学関係の方が、私の名前を憶えていてくださいました。
その後に、大学の先輩が「紹介したい先生がいる(シェアしてくださった先生とは別の方)」ということで、お話をさせていただくことになりました。その時に連絡先をいただいており、お礼のメールをお送りしていました。6年ほど経った2022年5月末に「複数の人から城谷さんの名前が挙がった」というご連絡をいただき、キャリアプランの講義のお誘いを受けました。
その時は、単発のお仕事かと思いきや、話が進んでいくにつれ「後期の講義をお願いしたい」という流れになりました。あとの流れは大学の中身になって引き寄せの法則しまうので書きませんが、履歴書や経歴書のようなものを準備し提出しました。教授会や理事会を通過し、講師決定となりました。
個人的に驚いたことは、2009年に「中途退学します」と申し出て「短期大学卒業まで頑張らないか」と引き止められ「もう限界です」と泣きながら答えた場所で、「後期講師をお願いしたい」と面談をされたことでした。
当時は椅子ではなくソファーが置かれてあり、2022年に伺ったときは改装されていたのですぐには気づきませんでした。部屋を出たときに、ふと「同じ部屋だ…」と気づきました。その瞬間、重々しく鎖でつながれていた『中退』という言葉がサーっと砂になって流れていくのを感じました。
ビジョン(未来像)こそ、目標に近づく秘訣。
中退した大学に、講師として戻ることは多くはないことだと思います。自分自身でも思ってもいませんでした。と書きたいところですが、実はそうでもないと、今書きながら気づきました。心の中で「いつか経験を引っ提げて音大で教える側になる」という気持ちを持っていました。ビジョン(未来像)こそ、目標に近づく一番の秘訣です。言葉ではわかっていても、体現している人は多くありません。怖くても、流れに乗ってみることです。
実体験としてもう一つ紹介します。2022年5月初旬のお話です。コロナ禍で、名刺交換をすることもめっきり減り、スーツを着る機会も少なくなりました。落ち着いてクローゼットを見直すと、そろそろスーツを新調する時期に来た気がする…と感じて、手帳・ノートカバー・名刺入れ・ベルト・スーツを一気に新調しました。全部そろった2022年5月末頃に、大学講師の連絡が届きました。臆することなく、新調したものを身に着けて大学に伺いました。引き寄せの力とでもいいますか、「いつ何を頼まれても準備できている自分」というビジョンを掲げた結果、うまく事が運びました。
さいごに
9月から大阪音楽大学でお世話になります。短期大学・大学両方で「キャリアプラン」の講義を受け持ちます。木曜日4・5限です。大阪音楽大学の学生方が読んでくださっていたら、これからどうぞよろしくお願いします。
もしかすると、過去の私のように絶望している学生の方もいらっしゃるかもしれません。在学中の絶望経験からの復活劇を、生きた化石としてみていただけるような講義にします。今からでも一つ言えることは、「音大生は、可能性に満ち溢れている」ということです。想像力に長けている人が、ビジョンを持って行動すると何が起こるのか、講義でお伝えしていきます。
さて、せっせと講義の準備をします。